マインドフルネスとは、「今ここで起こっていることに判断をせずに気づいている」意識の状態のことです。
マインドフルネスの実践により、ストレスの軽減や集中力の強化などの効果が得られるとされることから、21世紀に入って世界中で大きな注目を集めています。
マインドフルネスはもともと仏教の悟りに至る意識状態とその意識状態に至る修行のことなのですが、マサチューセッツ大学医学校名誉教授のジョン・カバットジン(Jon Kabat-Zinn)博士がマインドフルネス瞑想を医療分野に取り入れ、慢性の痛みとの共存を目的としたプログラム「マインドフルネス・ストレス低減法」を開発しました。
その後、 マインドフルネスはストレス緩和だけでなく精神科領域への応用もされるようになり、うつ病の再発予防プログラムとして「マインドフルネス認知療法」が開発されました。
私がトレーニングを修了した身体指向心理療法ハコミ・セラピーは1980年代からマインドフルネスを取り入れており、マインドフルネスに注目した先駆的心理療法です。
医療分野以外でも、アップルやグーグル、フォードなどの大企業が社員研修の一環としてマインドフルネス瞑想を導入したことで知名度が一気に高まりました。
やっと最近になって日本へも逆輸入されるような形で広まりを見せています。
「今ここに起こっていることに判断をせず気づいていること」は一見簡単なようで実はかなり難しいのです。
私達は小さい頃から善悪・損得・美醜などの判断をするように習慣づけられており、過去を反省し悔やみ、未来を心配したり未来の成功に向かって今は我慢して努力をし続けることを良しとしています。
過去や未来のことを考えているとき、「今ここ」が見失われています。
本当は「今ここ」しか存在しないのに、です。
だから、ちゃんと今ここに在り続けるようになるためには修行が必要です。
それがマインドフルネス瞑想です。
一番シンプルなやり方は、楽な姿勢で座って自分の呼吸に意識を向け続けること。
身体は今ここにしか在れません。
呼吸は人が生きている限り常に行われています。
今ここに意識をつなぎとめておくために、呼吸をアンカー(碇)にするのが便利なのです。
それでも、やってみればよく分かると思いますが、ずっと呼吸に意識を集中するのは思いの他難しいです。
すぐに昨日のことや明日のことなどが頭に浮かび、意識を思考に乗っ取られてしまいます。
だから、こころのトレーニング、こころの筋トレとして毎日でもマインドフル瞑想を続けることが奨励されます。
1日たった5分でもいいので、毎日続けると、だんだん自分の意識が変わってくることに気づくでしょう。
何よりも周りの様々な雑多なことに心をかき乱されることが少なくなり、日常生活を深く味わえるようになり、慈悲の心も育っていくでしょう。
瞑想方法は、ただ座るだけではなく、食べる瞑想や歩く瞑想など様々なやり方があります。
ただ、マインドフルネスとは「意識状態」のことなので、座って目を閉じていることではないのです。
そこを勘違いしないでほしい。
瞑想は「今ここ」にいられるようになるための訓練なので、目標は日常生活を営む一瞬一瞬を今ここに十分に在るようになることです。
過去に捉われることなく、未来を思い煩うことなく、常に新鮮な意識で、柔らかい心で、自由な心でいられること。
『ニュー・アース』
エックハルト・トール著
(この本の中で「マインドフルネス」という言葉は出てきませんが、本当のマインドフルネスとはこういうことか!!と理解でき、意識の次元が変わります。)
『グーグルのマインドフルネス革命: グーグル社員5万人の「10人に1人」が実践する最先端のプラクティス』
『今、ここを生きる - 新世代のチベット僧が説くマインドフルネスへの道 』
『こころはマインド - "やわらかく"生きるために』
エレン・ランガー著